懐かしきボ日々

日々の雑感を綴るブログ。今の所、ボードゲームを楽しんでいた日々の回顧。

ボードゲーム人口を増やすためにはアニメや漫画の原作付きをリリースするのが手っ取り早いのではないか

 先日、アークライト訴訟についての記事を書いた後、ボードゲーム業界を拡大する方法について考えるようになった。会社の地方出身者(のオタクっぽいやつ)と話をしたり、地方の支店の人とZOOM会議の後、それとなく雑談していて気づかされたことであるが、昨今のボードゲームブームは大都市特有の現象らしい。話を聞く限り地方においてボードゲーム愛好家はかなり少なく、ボードゲーム喫茶が存在しない、もしくはあったとしても1,2件という地域も少なくないようだ。それどころか往々にして「そういえば公民館でボードゲームやってる集まりを見たことがありますよ」という答えが返ってくる。
 考えてもみれば無理からぬことであり、ボードゲームが認知されるためには同好の士が集まりあわねばならず、しかし地方では人口が少なく、個々人の物理的距離も遠く交通手段も限られるため、集まりあっての趣味は不可能に近くなるのだ。また、そんな中で集まりあったとしても、久しぶりに集まった仲間なので、近況報告や最近のアニメや漫画の話、あるいは飲み会やカラオケといった選択肢になり、あえてボードゲームをプレイすることはありえないのは目に見えている。
 しかしボードゲームが今以上に普及するためには、地方での活性化が不可欠であろう。首都圏のボードゲーム喫茶は現在コロナ禍により淘汰傾向にあるが、以前は飽和状態にあった。これからボードゲーム喫茶の地方進出が始まる、という時期に、コロナウイルスが襲ったのだ。地方進出は多くのボードゲーム関係者が画策していたことであろう。

 ところで、ボードゲームをプレイしたことのない層への布教は、思ったほど難しい。まずとっかかりがないのだ。ボードゲーム愛好家は斬新なルールやパッケージのアートワークをとかく気にしがちだが、それらは初心者には敷居の高さとなってしまうようだ。とっかかりを作るために、往々にしてボードゲーム愛好家たちは「教育に良い」「頭が良くなる」と説得して、ファミリー層を振り向かせようとする。海外においてはファミリー層がボードゲーム市場の主流らしいので、その着眼点はあながち間違いではないのだろうが、子供が小さなころは家族でボードゲームを楽しみ、ある程度大きくなったら今度は友達同士が集まって…というのはずいぶんと悠長な計画なような気がする。それよりも、アニメや漫画が好きないわゆるオタク層をターゲットにしたボードゲームを開発した方が、手っ取り早いのではないかと思う。
 商品はもちろん、原作付きのゲームだ。人気のあるアニメや漫画をボードゲームにする。カードゲームのようにちまちまと集めてデッキを構築するタイプではなく、一つのパッケージで完結するタイプを。(そう、かつてのエロゲーのパッケージくらいの大きさで)
 50代より上の古参のボードゲーマーと雑談をすると得てして、多くの子どもたちがウォーゲームに興じていた少年時代の思い出話となる。インドアな傾向を持つ男の子は友達の家に集まりあい、ガンダムザブングルなどのロボットアニメ原作のウォーゲームで遊んでいたらしい。ファミコンが発売されるより前の情景ではあるが、現代でも同じ切り口が可能なのではないかと思う。人気のあるアニメや漫画をボードゲーム化すれば、そのファンが集まりあった時におのずと遊ぶようになるのではないか。最近では『ゴブリンスレイヤーTRPG』のヒットがあるが、同じように様々なアニメのボードゲームを作成すれば、おのずと集まりあったファンはボードゲームをプレイするようになるのではないだろうか。

(過去のウォーゲームブームは、それはそれは思い出深いものであったようだ。50代以上のボードゲーマーが複数人集まると、必ずと言っていいほど話題に上り、盛り上がる。「ザブングルは遊びやすかった」「イデオンのバランスの悪さはなんだ」「マクロスの恋愛カードゲームでどうやってもあのキャラが落とせなかった」などなど。ボードゲームがオタクの主要な遊び場だった時代というのは、ほんとうに輝かしい思い出なのであろうし、正直言って羨ましいと思う)

 

 しかし原作付きのボードゲームが普及した場合、今現在のボードゲームマニアとの間で軋轢が生まれるかもしれない。ボードゲーム喫茶やオープン会には暗黙のルールが存在するが、新規参入者にはそうしたもろもろが分からないからだ。「あいつらは原作が好きなのであって、ボードゲームが好なわけじゃない」と愚痴るかもしれない。だがボードゲーム愛好家は新参者を温かく迎える必要があるだろう。裾野が広がれば、新しいゲームがどんどん出てくる。新しい仲間もどんどん増える。愛好家なら愛好家らしく、数限りないボードゲームの中から金の砂粒を自らの経験と勘で探し出せばいいのだ。

 

 いずれにせよコロナ禍が過ぎ去った後の話となるだろうが……