懐かしきボ日々

日々の雑感を綴るブログ。今の所、ボードゲームを楽しんでいた日々の回顧。

タルヲシル炎上事件を振り返る③(感想)

感想その1

 調べたことをつれつれと書いていたら、思いのほか長文となってしまった。ただ、これだけ書いても、たぶん本質には届いていないのだろう。
 どうにも表に出ていない情報が多すぎるようだ。同人音楽サークルは島津社長の暴言スクショをアップした割には、その後のタルヲシル社との交渉スクショは公開していない。タルヲシル社も同様に、同人音楽サークルとの交渉過程を声明文に盛り込んでいない。舞台準備の最中、島津社長と同人音楽サークルの代表とは折り合いが悪くなり、しかしA氏との関係性は継続したようだが、A氏とタルヲシル社とのメールやLINE等の通信記録は公開されていない。タルヲシル社の関係者複数名は「10月に同人音楽サークル代表が金銭授与に関与していた証拠が出せる」と述べていたが、むしろ10月から沈黙した。
 また、あまりにも謎が多すぎる。タルヲシル社は「報酬を支払った」と声明文を出す割には、そのコピーは提示されていない(つまり金額が分からない)。朗読劇は第2弾が予定していたようだが、なぜか役者を再募集している(あれだけ丁寧な謝辞を述べていたのに再雇用はかなわなかったのか?)。同人音楽サークルの代表は9月4日の時点で「怖くて返信できない」とし後に入院したようだが、いったいタルヲシル社はどのような和解交渉をしたのか(作曲家が賠償金の話題を出しているが、金銭を強く要求したのか?)。なぜ報酬を持ち逃げしたA氏に責任を求めようとしなかったのか(A氏こそ詐欺の容疑で刑事告発できる)。
 おそらく……10月から本格的に弁護士が介入したため、タルヲシル社、同人音楽サークル、およびタルヲシル社の関係者は表向きには口を噤まざるを得なかったのであろう。しかしおおまかで良いのでどのような帰結となったのか公表してほしいと思う。当人たちには申し訳ないが、炎上の対策と失敗についての良き凡例となるであろうからだ。


感想その2

 一ボードゲーム愛好家として、この事件における島津社長のプレイは理解できない。どのような勝利条件を設定していたのかは分からないが、万に一つの勝ちも存在しないゲームだ。

 以下、島津社長の不利な点を列挙する。
 ・本名を出しているのは島津社長(おそらくA氏も)のみ。同人音楽サークル側は匿名。島津社長(およびA氏)は顔写真まで公表している。
 ・同人音楽サークルは無償で仕事をしたとのことなので、タルヲシル社は彼らの口座番号を知らないのではないか。むしろ住所や本名すら知らない可能性がある。したがって民事訴訟でもし勝訴したとしても、賠償金の差し押さえは極めて難しい。
 ・炎上はタルヲシル社の経営にダメージ。交渉が長引けば長引くほど、タルヲシル社の経営は悪化する。同人音楽サークルは趣味の集まりなので、実生活にダメージはない。むしろ牛歩戦術が有利となる。
 ・訴訟に発展した場合、スラップ訴訟となる。裁判の結果如何によらず、顧客のイメージは悪くなる。またスラップ訴訟は「言論の封圧や威嚇を目的として行われる」ものであるが、沈黙している匿名の相手にはあまり効果があるとは言えない。
 ・訴訟を行うにしても、名誉棄損は成立しにくいと思われる。LINEの会話をネットにアップした行為については、暴言の被害者は同人音楽サークルである。そして詐欺を働いたのはA氏であり、金銭面でも同人音楽サークルは被害者。訴えるべきは詐欺をはたらいたA氏であり、敵を間違えている。
 ・暴言を発せねばならなかった理由が最後まで説明できなかった。タルヲシル社の関係者も暴言に関しては否定的であった。
 ・暴言と報酬との関係性が説明できなかった。報酬を払っていたとしても、暴言が許されるわけではない。
 ・金銭問題の潔白を訴えるなら、舞台予算およびDVD制作費用の明細を公表すべきだった。最低でも、A氏への支払明細書および支払いに至るまでの交渉記録は公表すべきであった。公表できない理由があるのならば、それはタルヲシル社の瑕疵でしかない。
 ・ネット上の大多数の意見はタルヲシル社に否定的。どのような和解を行おうとも、落ちた企業イメージが戻る見込みはない。

 裁判をしても勝てない、賠償金も取れない、自社の経営が上向きになるような和解案は発案すらできない、和解が長引くほどに経営にダメージ、そして何より勝手に動く取り巻き。
 将棋に例えれば、飛車角が取られ桂馬のみ4つある状態か。王道エンターテイメント社をはじめ関係者がネット工作を繰り返していたが、敵の層は厚く積極的に動かないので王手に届かず、しかし盤をひっくり返すこともできず……

 タルヲシル社の不可解な炎上への対応はもしかすると、年間利益200万円しかない事業だったので切り捨てる算段ゆえだったのかもしれない。採算的にボードゲーム事業部は社長の趣味で創設されたと推測されるので、社長の不始末で畳むのは正しい判断ではあるが……
 件のゲーム『キズナと蛍の物語』は追加パックが2種発売され、海外版も発売、朗読劇に漫画化と事業を多角的に展開していた。おそらくようやく黒字に転じ、これから本格的にボードゲーム事業に参入するつもりだったのであろう。野心的な会社がたった一言の暴言で消えるというのは、一ボードゲーム愛好家として悲しくもある。しかしやはりあの暴言はクリエイター生命を失うには十分すぎるものだったとも思う。