懐かしきボ日々

日々の雑感を綴るブログ。今の所、ボードゲームを楽しんでいた日々の回顧。

天板の裏がフェルトのこたつ

 妻が「そろそろこたつ買う?」と聞くので、「まだうちの子には早いだろ。事故とか心配」と答えてたのだが、どうやらこれのことらしい。

 ヤマダデンキから「ゲームこたつ」発売、カードスロット付き

 欲しい。喉から手が出るほど欲しい。しかしながらうちの子はまだ1歳。こたつは乳幼児の事故が多いと聞く。我が子が大きくなるまで、ヤマダデンキさんはこの商品を生産し続けてほしいと思う。いやむしろ、ボードゲームが右肩上がりでブームになれば、類似商品が多数発売されて、選択肢が広がるのだ(という希望)。

 

 そういえば昔、祖父の家で、天板の裏側がフェルトのこたつを見たことがあった。「これは麻雀をやるための仕組みよ」と祖母が解説してくれたものだが、一度トランプでも遊んでおくのだったと、今さら小さく後悔。

『五味太郎 どうぶつメモリーカード』を遊んでみた

 先週は休日が多く、しかしコロナウイルスの影響を考え外出はせず、LINEやズームで友人らとボードゲーム雑談に興じていた。しかしタルヲシル破産の話題はほとんどなかった。ニュース記事以外の情報が少なすぎるのと、そもそも倒産は時間の問題だったからだと思う。

 それはともかくとして、ブログを読んだ友人らは口をそろえて「次はゲートルーラーについて書いてくれ」というのだが、あれは現在進行形なのでパスさせていただく。細かな炎上ポイントが多いわりに、火元は一つなので、そのうちしかるべき着地点に収束するのではないかと思う。もっと本質的な問題として、そもそも私はゲートルーラーに手を出していないので、評価しにくい気持ちがある。

 

 どうにも最近つれつれと思うに、ボードゲーム愛好家の中で少数だが目立つ人々が得てして、物事の解決に対して短絡的な手段に訴える傾向があるような気がする。ボードゲームにおいては、少人数でプレイし、ルール内でのプレイが要求され、長考は嫌われる。ごく一部のボードゲーム愛好家は、それを現実社会の処世術として使用しているのではないだろうか。しかしながら現実社会では、一つのことを数時間・数日・数か月・数年かけて考え続けることは多く、ルールの隙を突くプレイが場合によっては尊ばれ、それどころかルール(法律)の守備範囲はとてつもなく広く、明文化されていないルール(倫理・道徳・慣習・常識など)はさらに広く、またプレイ人数も限りなく多い。つまり現実社会はボードゲームの数億倍は複雑なのだから、プレイの際にはじっくりと考えなくてはいけないのだが…一部のボードゲーム愛好家はどうにも、「ぱっと思いついた名案」に飛びついてしまうようだ。そしてそれは名案ではなく、むしろ着火点である場合が少なくなく…

 

 

 さて、話は変わって、妻がカードゲームを買ってきた。『五味太郎 どうぶつメモリーカード』である。私へのプレゼント…と言っているが、どう見ても息子に遊ばせるためだ。

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「そんなことないよ。ほら、この子は1歳だけど、解説書には「対象年齢:3歳~」って書いてあるじゃない。だからあなた用なの」

 息子は現在、ようやく物の名前を憶えて指差すくらいになってきているが、さすがにこのカードゲームはプレイできそうにない。したがってまずは私と妻とでテストプレイをしてみた。メモリーカードなので、裏返し、ぐしぐしと混ぜて並べる。各々が2枚ずつめくり、絵柄が揃ったらストックする。

 初回プレイは約30分かかった。私の勝ちだった。約2倍の得点差だった。

 私は「うむ。普通のメモリーカードだなあ」という感想しか抱かなかったが、妻は「トランプより難しいし、疲れる」とのことだった。トランプは同じ数字が4枚あるが、このメモリーカードは同じ柄が2枚しかない。トランプは13組だが、これは33組もある。トランプの神経衰弱しかプレイしたことのない人にとっては、およそ5倍以上の記憶容量が必要とされるため、1プレイでかなりの消耗となるようだ。実際、妻はもう一度遊ぼうとしない。それどころか、たぶん子供とこのカードゲームで遊ぶ係は私になりそうな予感がする。もちろん接待プレイなどしないつもりだが、しかし如何にボードゲーム愛好家とはいえ、子供の記憶力に勝てるのであろうか、との不安がある。

 

 余談…

 このカードゲームを貰って私は「へー。面白いアートワークだね。この〝いつみたろう”というのがイラストレーター?」と言ったら、妻は「ごみたろう、と読むのよ」と笑った。「へ?ゴミ?」と私が聞き返すと、ケタケタと笑い転げた。

タルヲシル社の破産と、A氏の贖罪機会の喪失について

 先月、創作集団タルヲシル株式会社の炎上事件について記事を書いたばかりだったが、破産が決定したようだ。正直なところ非常に驚いている。

 タルヲシル破産、『キズナと螢の物語』などを製作

 この記事の中で「負債額調査中」とあるが、破産処理終了などの続報は出るのだろうか。また「事業を縮小して」とのことだが、ボードゲーム事業に対して他はどのくらいの規模だったのであろうか。

 会社の破産というものについて少し調べてみたが、中小企業の場合、往々にして資本金が経営者の資本とリンクしているため、経営者も自己破産手続きを行うことが多いらしい。島津社長も自己破産に至ったのであろうか。このコロナ禍のご時世、生活の再編は大変であろうと心配になる。

 過ぎたことをとやかく言うのは好ましくないのかもしれないが、あの炎上事件の日々において、タルヲシル社は事業継続のため早急に音楽サークルと和解すべきであった。炎上当初の数日間は音楽サークル側から和解に対して歩み寄っていたのだから、ひたすら低姿勢で謝罪を行い、その後に事業を再編すれば、おそらく破産という結末には至らなかったであろう。

(音楽サークルが窓口を閉め、交渉が長期化したのが失敗であった。特に、音楽サークル作曲家の失言と代表の入院を、タルヲシル社関係者がひたすらはやしたてたのがまずかった。交渉戦において有利に立っていると思ったのだろうが、その実、沼に引き込まれていたのだ。早期に和解していればタルヲシル社は平謝りで良かったが、時間が経過すれば経営が悪化するため、有利な条件を引き出せねば帳尻が合わなくなる。ところが双方は勝利条件が違い過ぎる。タルヲシル社は経営のため和解する必要がある一方、音楽サークルは必ずしも和解しなくても良い。そしておそらく音楽サークル側は交渉の途中で「和解しない」という選択肢を選び、しかし作曲家の失言により自らの有利を勘違いしたタルヲシル社は、その方向転換に気付けなかった。もしかしたら、作曲家はそれを画策しわざと失言を演じたのではないか、と私は勘繰っている。もし私が同じ立場であったなら、繰り返されるタルヲシル社関係者の放言を、手をたたいて眺めていたであろうからだ)

 

 またタルヲシル社の破産は、炎上のきっかけとなったと言われるA氏の横領についても変化を与える。もしかするとA氏は「お金を返さなくてもよくなった」と考えるかもしれないが、それは違う。罪を償う機会が喪失することとなり、A氏の状態は以前よりも悪くなる。

 このままタルヲシル社が消滅した場合、確かにA氏の横領金は宙に浮く。しかし事件も未解決に終わったこととなり、彼は罪を償うことが未来永劫不可能となる。これが何を意味するかというと……関係者が今後、A氏の罪状について発信できることになる。

 現在のところ音楽サークルは沈黙を続けているが、タルヲシル社が消滅した後には、炎上事件について語り始める可能性がある。タルヲシル社との交渉については、もしかすると守秘義務が課せられているため多くは語らないかもしれない。しかしA氏については遠慮せず情報を発信し、金銭問題が解決していない場合にはむしろ積極的に情報を集めようとするであろう。

 タルヲシル社の経営者・社員について言えば、A氏に対して何らかの恨みを持っていたとしてもおかしくはない。そもそも炎上の原因についてA氏という存在を浮かび上がらせたのはタルヲシル社であるし、A氏を特定できる情報をあえて流したり、揶揄する発言を繰り返したのもタルヲシル社の関係者だ。したがってタルヲシル社が消滅した後、A氏についての何らかの情報を何らかの手段で流す可能性は否定できない。

 そしてA氏にとって辛い現実として、流される情報が事実である限り、対処はとても難しい。彼の横領を起点として、タルヲシル社は倒産している。音楽サークルについても、もともと彼から金銭的被害があり、また炎上事件で弁護士を雇ったのであればその費用も数十万円は必要だったはずだ。これらの罪を解消しない限り、情報をインターネット上から消すことは難しい。現在、彼の名前で検索を掛けると、朗読劇DVDにおける楽曲報酬持ち逃げについてヒットするが、今後はこれに会社を倒産に追い込んだことが追加されることであろう。結婚や就職を台無しにするデジタルタトゥーとしては、最悪の部類に入るのではないだろうか。

 そういうわけでA氏には、早急にタルヲシル社へ楽曲報酬の返還を行うことをお勧めする。口座番号を知らなければ、タルヲシル社の住所はニュース記事に書いてある ので、現金書留で送るのが良いだろう。そして音楽サークルに負債があるのならば、それもすぐに解消した方がいい。さらにはもし可能であれば、双方の弁護士費用を賠償金として支払った方が良い。それでどうにか最低限の身の安全は得られるだろう。現在ネット上に存在する個人情報を消すことが可能となるし、今後、書き込まれる情報を、誹謗中傷として処理できるようになる。

 A氏はとにかく急いだ方がいい。タルヲシル社の消滅まであまり時間が無い。拭い去れない罪を背負って生きるには、ネットの世界は狭すぎるのだ。

 

 最後に…

 創作集団タルヲシル株式会社様、同人音楽サークルなりものじあ。様、およびA氏におかれましては、事後処理が完了した暁には、ぜひこのブログにご一報下さいますようお願い申し上げます。すぐに記事を削除いたします。このような不幸な事件に関しては、長らくネット上に留めておくことは関係者の気持ちを害するばかりか、ボードゲームの未来についても良くないことと思われますので。

ボードゲームインスト系男子のモテ期は?

 最近、妻がギターを弾き始めた。爪弾きながら歌っている。

「学生の頃ギター弾いてたんだけど、けっこう覚えているものね。でも指痛い」

 先日、マンションのエレベーターで、ギターを抱えた人と乗り合わせたのだ。「ここって楽器演奏できたっけ?」「そういえば契約書に何も書いてなかったな」「あの人、上の階の人だけど、音聞こえないね」「防音性能の高い構造なんだろう」

 以前住んでいたところは、契約書に楽器演奏禁止と明記してあるどころか、不動産屋から「電子ピアノとかも絶対にダメです」と念を押されたものだった(しかし上の階の外国人は夜遅くまで大騒ぎしていたが、それについては苦情を受け付けないというダブルスタンダードだった)。

 そして本日、妻はウクレレも買ってきた。もちろん息子に弾かせるためだ。妻がギターを弾いていると息子もギターをいじりたがるのだが、フォークギターの弦は金属で細いため危険なのだ。ウクレレの弦はナイロンでできているので、やや安全。

 もちろん息子はまだ弦を押さえる事はできないが、少しいじったら爪弾くことはできるようになった。順応性が早いのは妻に似たようだ。

 このままでは息子はギター男子になるかもしれないが、ボードゲーム男子より女子にモテるだろうと思われるので、まぁそれはそれでよいのかもしれない。私には「ボードゲームでお金について学びましょう」と言い寄ってくる女性に鼻の下を伸ばしていたら高額セミナーに案内された過去があるので、どうにもボードゲームと女子とが結びつかない。ボードゲームはとてつもなく楽しいが、かといって何か勉強になるようなことは少なく、駆け引きを学べるとも思えず(ボードゲームで学ぶ駆け引きは現実社会では応用し辛い)、まぁ複雑なルールを理解する頭脳くらいは持ってほしいと思うのは親の欲目か。

 この子が思春期になる頃、もしかしたらボードゲームが大流行していて、インストのうまい男子がモテるようになる……というような未来を想像してみようとしたが、具体的なイメージが湧かなかったのはとても悲しい。

「争いごとは何も生み出さない」と物語の主人公は言うけれど、正にその通りだと思う

 盆休みの間、アークライト訴訟事件とタルヲシル炎上事件について書いていたのだが、調べている最中はともかくとして、書き終わった今となってはとても気分が沈んでいる。記事を書いた後、件の友人と話をしていたが、やはりどことなく二人して暗い気分になってしまった。よくよく考えると、これらの事件の関係者は誰も得をしていないし、業界にとっても足を引っ張る形になっているのだ。

 アークライト訴訟事件については、私はアークライト社が試合に負けたが勝負には勝ったと書いたが、とはいえ「アークライト社の製品は買わない」と公言する古参ボードゲーム愛好家は多い。かくいう私も、あの事件以降、アークライト社のゲームは買っていない。一見逃げ切れたように見えたあゆ屋も、その後、数々の問題を起こしていることを考えると、きちんとけじめを付けなかったばかりに、同じような過ちを何度も犯すような企業体質になった、と考えられるだろう。

 タルヲシル炎上事件に至ってはもっと悲惨だ。タルヲシル社社長は現在何を生業としているのか分からないが、ボードゲーム業界での再起は難しいであろう。報酬を持ち逃げし炎上の着火剤となったA氏は唯一金銭的に得をしているが、その金額ははたしてデジタルタトゥーの対価に見合うものだったのだろうか?(販売数1000個のボードゲームを原作とする朗読劇のDVDということだが、多く見積もっても300枚程度のプレス数であろう。定価4000円で音楽印税を5%と仮定すると、A氏が横領した報酬は6万円……詐欺犯に同情する気はないが、あのGoogle検索結果の金額とは……)

 ボードゲーム業界にとってこれらの事件は負の側面でしかなく、業界の小ささを考えれば、このマイナスは大きい。今後、このような事件が発生しないように願う。ボードゲーム業界は思った以上に小さく、ユーザーやクリエイターが少しでも離れれば、そのダメージは大きいのだ。

タルヲシル炎上事件にて報酬を持ち逃げしたA氏について調べてみる

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『朗読劇キズナと蛍の物語』クラウドファンディングのスタッフ欄より抜粋

 先日、創作集団タルヲシル株式会社についてブログ記事を書いたが、その炎上と休業に大きく関与したA氏について調べてみると、意外なことにかなり詳しいことまで判明したので、ここに記しておく。

 A氏の罪状は……
 2018年、創作集団タルヲシル株式会社が主催した朗読劇『キズナと蛍の物語』において監督を務めたが、そのDVD化に際して支払われる楽曲制作報酬を、音楽家に無断でタルヲシル社と金額交渉をし、そして横領した。何も知らされていない音楽家は無償での仕事と思い込み、DVD発売に際しタルヲシル社に問い合わせたが、タルヲシル社の対応の失敗からトラブルに発展し、インターネット上で大炎上となった。音楽家とタルヲシル社は炎上に関し交渉をし、A氏による詐欺が両者の目に明らかとなったが、すでにA氏は逃亡した後だった。その後、音楽家とタルヲシル社は交渉を続けるも和解に至らず、タルヲシル社の休業という形で事件の幕は下りた。(追記:2021年破産決定
 タルヲシル社の休業は社長の言動など自業自得な面もあるが、タルヲシル社や炎上を調査した関連会社によれば、A氏の詐欺を起点としているとの結論だった。したがって一種のバイトテロとも言えるであろう。

 

 ボードゲーム × 舞台!異色のコラボで送る異能バトル劇「朗読劇 キズナと螢の物語」製作プロジェクト

 A氏の正体については、タルヲシル社と音楽家の双方が「スタッフを務めた」とし、タルヲシル社の関係者が「クラウドファンディングのページに名前がある」とし、タルヲシル社の関連会社が「監督を務めた」との声明文を出している。上のリンクが当該クラウドファンディングのページであるが、スタッフは総監督、原作(タルヲシル社社長)、音楽、主題歌ボーカリストの4名しか記載がないので、「 金山大樹 」 なる人物がA氏に該当する
 

 この人物についてさらに調べてみる。
 まずGoogle検索をかけると、以下のような結果となった。

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 同姓同名が多いようであるが、演劇をキーワードとすれば特定しやすい。高校演劇部員のTwitterアカウントがヒットするが、フォロワーに当該音楽家もいることからA氏で間違いないものと思われる。したがって2013年ごろに高校生だったことと、群馬県出身であることが分かる。

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 群馬県出身であることから、おそらく以下の求人票が該当するものと思われる。出身高校や仕事歴が明らかとなる(2018年8月で辞めているが、炎上事件から逃亡するため?)

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 彼と音楽家とのTwitterでのやりとりはまとめ記事に書かれているが、それによると彼のTwitterアカウント名は「@ioritakase141」であったらしい。現在はアカウントが削除されているが、検索すると「高瀬伊織」というハンドルネームであったことがわかる。そしてこの「高瀬伊織」で検索すると、割とよく使われる名前らしく複数の人物がヒットするが、出身地や演劇関係で特定できる。生年月日や血液型身長まで記載されている。

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  クラウドファンディングのページには、彼のTwitterIDは「@kanaseedgamer」とあるが、やはり現在は削除されている。しかし検索をかけると、音楽家のメッセージが出てくる。どうやら彼はタルヲシル社だけではなく、音楽家とも金銭トラブルを抱えていたようだ。

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 炎上事件に関係したA氏の詐欺は、もしタルヲシル社が音楽家にDVDを送っていたなら発覚しなかった。そういう意味では非常に巧妙な詐欺だった。しかし一方で、顔出しの仕事で犯行に及ぶというのは非常に短絡的だったといえよう。

 言うまでもないことであるが、インターネットの履歴は消えにくく、クラウドファンディングのページに至っては永久に消えることがない。

「金山大樹」なる名前が本名であるか、あるいは役者としての芸名であるかは分からないが、いずれにせよGoogle検索の1ページ目に罪状付きで表示されてしまっている現状では、舞台の仕事はできないと思われる。

 もし本名であれば、彼は就職や人間関係に苦労しているのではないだろうか。特に今後、結婚や子育てについて考えるならば、あまりにも大きなハンディキャップとなる。今からでも遅くはないのでA氏には、タルヲシル社と音楽家に連絡を行い、謝罪し、金銭問題その他を解決し、そしてインターネット上の履歴の消去作業に取り掛かることをお勧めする。

 

 彼は若さゆえ、あるいは演劇関係者ゆえの自己顕示欲で、様々なサイトで自己アピールを繰り返していた。今どきの若者にはよくありがちなのであろうが、一旦犯罪などに関わると、このように個人情報が無制限に晒されてしまう。しかし彼の浅はかさを我々は笑うことは出来ない。インターネットを利用する者は、多かれ少なかれ個人情報を入力しているからだ。しかし少なくとも、犯罪の主体とならなければ、不名誉なデジタルタトゥーを刻むことはないであろう。他山の石として気を付けたいところだ。

タルヲシル炎上事件を振り返る③(感想)

感想その1

 調べたことをつれつれと書いていたら、思いのほか長文となってしまった。ただ、これだけ書いても、たぶん本質には届いていないのだろう。
 どうにも表に出ていない情報が多すぎるようだ。同人音楽サークルは島津社長の暴言スクショをアップした割には、その後のタルヲシル社との交渉スクショは公開していない。タルヲシル社も同様に、同人音楽サークルとの交渉過程を声明文に盛り込んでいない。舞台準備の最中、島津社長と同人音楽サークルの代表とは折り合いが悪くなり、しかしA氏との関係性は継続したようだが、A氏とタルヲシル社とのメールやLINE等の通信記録は公開されていない。タルヲシル社の関係者複数名は「10月に同人音楽サークル代表が金銭授与に関与していた証拠が出せる」と述べていたが、むしろ10月から沈黙した。
 また、あまりにも謎が多すぎる。タルヲシル社は「報酬を支払った」と声明文を出す割には、そのコピーは提示されていない(つまり金額が分からない)。朗読劇は第2弾が予定していたようだが、なぜか役者を再募集している(あれだけ丁寧な謝辞を述べていたのに再雇用はかなわなかったのか?)。同人音楽サークルの代表は9月4日の時点で「怖くて返信できない」とし後に入院したようだが、いったいタルヲシル社はどのような和解交渉をしたのか(作曲家が賠償金の話題を出しているが、金銭を強く要求したのか?)。なぜ報酬を持ち逃げしたA氏に責任を求めようとしなかったのか(A氏こそ詐欺の容疑で刑事告発できる)。
 おそらく……10月から本格的に弁護士が介入したため、タルヲシル社、同人音楽サークル、およびタルヲシル社の関係者は表向きには口を噤まざるを得なかったのであろう。しかしおおまかで良いのでどのような帰結となったのか公表してほしいと思う。当人たちには申し訳ないが、炎上の対策と失敗についての良き凡例となるであろうからだ。


感想その2

 一ボードゲーム愛好家として、この事件における島津社長のプレイは理解できない。どのような勝利条件を設定していたのかは分からないが、万に一つの勝ちも存在しないゲームだ。

 以下、島津社長の不利な点を列挙する。
 ・本名を出しているのは島津社長(おそらくA氏も)のみ。同人音楽サークル側は匿名。島津社長(およびA氏)は顔写真まで公表している。
 ・同人音楽サークルは無償で仕事をしたとのことなので、タルヲシル社は彼らの口座番号を知らないのではないか。むしろ住所や本名すら知らない可能性がある。したがって民事訴訟でもし勝訴したとしても、賠償金の差し押さえは極めて難しい。
 ・炎上はタルヲシル社の経営にダメージ。交渉が長引けば長引くほど、タルヲシル社の経営は悪化する。同人音楽サークルは趣味の集まりなので、実生活にダメージはない。むしろ牛歩戦術が有利となる。
 ・訴訟に発展した場合、スラップ訴訟となる。裁判の結果如何によらず、顧客のイメージは悪くなる。またスラップ訴訟は「言論の封圧や威嚇を目的として行われる」ものであるが、沈黙している匿名の相手にはあまり効果があるとは言えない。
 ・訴訟を行うにしても、名誉棄損は成立しにくいと思われる。LINEの会話をネットにアップした行為については、暴言の被害者は同人音楽サークルである。そして詐欺を働いたのはA氏であり、金銭面でも同人音楽サークルは被害者。訴えるべきは詐欺をはたらいたA氏であり、敵を間違えている。
 ・暴言を発せねばならなかった理由が最後まで説明できなかった。タルヲシル社の関係者も暴言に関しては否定的であった。
 ・暴言と報酬との関係性が説明できなかった。報酬を払っていたとしても、暴言が許されるわけではない。
 ・金銭問題の潔白を訴えるなら、舞台予算およびDVD制作費用の明細を公表すべきだった。最低でも、A氏への支払明細書および支払いに至るまでの交渉記録は公表すべきであった。公表できない理由があるのならば、それはタルヲシル社の瑕疵でしかない。
 ・ネット上の大多数の意見はタルヲシル社に否定的。どのような和解を行おうとも、落ちた企業イメージが戻る見込みはない。

 裁判をしても勝てない、賠償金も取れない、自社の経営が上向きになるような和解案は発案すらできない、和解が長引くほどに経営にダメージ、そして何より勝手に動く取り巻き。
 将棋に例えれば、飛車角が取られ桂馬のみ4つある状態か。王道エンターテイメント社をはじめ関係者がネット工作を繰り返していたが、敵の層は厚く積極的に動かないので王手に届かず、しかし盤をひっくり返すこともできず……

 タルヲシル社の不可解な炎上への対応はもしかすると、年間利益200万円しかない事業だったので切り捨てる算段ゆえだったのかもしれない。採算的にボードゲーム事業部は社長の趣味で創設されたと推測されるので、社長の不始末で畳むのは正しい判断ではあるが……
 件のゲーム『キズナと蛍の物語』は追加パックが2種発売され、海外版も発売、朗読劇に漫画化と事業を多角的に展開していた。おそらくようやく黒字に転じ、これから本格的にボードゲーム事業に参入するつもりだったのであろう。野心的な会社がたった一言の暴言で消えるというのは、一ボードゲーム愛好家として悲しくもある。しかしやはりあの暴言はクリエイター生命を失うには十分すぎるものだったとも思う。